令和7年9月13日(土)・14日(日)に、安乗人形芝居舞台(安乗神社境内)で、国の重要無形民俗文化財に指定されている伝統芸能『安乗人形芝居』が上演されます。
志摩市の『安乗の人形芝居』は安乗神社の祭礼に奉納する神賬の人形芝居として受け継がれてきた民俗伝承芸能で、昭和55年に国の重要無形民俗文化財に指定されました。
人形芝居の発祥としましては、次のように言い伝えられています。
「文禄元年、志摩の国の国主九鬼嘉隆が、豊臣秀吉の朝鮮出兵(文禄の役)に参加する際、安乗沖にさしかかると急に逆風が吹いて船が止まってしまいました。嘉隆が安乗神社に参拝し戦勝を祈願したところ、風向きが変わり船は追風に乗って無事出航する事ができました。そして、戦役で武功をたてた嘉隆が、再び安乗神社に御礼参りに訪れたところ、村民は手踊りや種々の芸能で大歓迎をしました。」
このときに嘉隆から許された芸能が、幾多の変遷を経て安乗の人形芝居として伝承されています。
大正末期の不況と昭和の戦争により一時中断しましたが、昭和26年村民の願いと協力により復興し現在に至っています。
開催日時 | 令和7年9月13日(土)・14日(日) 午後6時30分開演 ※午後5時から三番叟上演 |
開催場所 | 安乗人形芝居舞台(安乗神社境内) |
主催 | 安乗神社・安乗人形芝居保存会 |
9月13日(土曜日)午後5時 安乗神社奉納三番叟上演
9月13日午後6時30開演
*幕間に舞踊があります。
東海中学校郷土芸能クラブ
安乗人形芝居保存会
長野紫寿
竹本友和嘉
安乗人形芝居保存会
長野紫寿
竹本友和嘉
9月14日(日曜日)午後5時 安乗神社奉納三番叟上演
9月14日午後6時30分開演
*幕間に舞踊があります。
安乗人形芝居保存会
安乗人形芝居保存会
佐中かをり
竹本友和嘉
安乗人形芝居保存会
佐中かをり
竹本友和嘉
〜三浦之助母別れの段〜
北条時政の娘時姫は、敵方の武将三浦之助を慕い、父に背き三浦之助の母の看病をしています。母の病を案じて、傷つきながらも戦場から戻った三浦之助に対し、気丈な母は会おうとしません。母の覚悟を知った三浦之助は再び出陣しょうとしますが、死を覚悟した三浦之助に、時姫は自らの愛の深さを語り、母の最後を看取ってほしいと引き止めます。三浦之助も思い返し、しばらくとどまることにするのでした。
~渡し場の段~
皇位継承をめぐる争いから命を狙われる身となった桜木親王は、山伏安珍となり、紀州真那古の庄司の家にかくまわれていましたが、恋人の姫君と再会し、二人で庄司の家を出て道成寺に向かいます。実は親王の身分であるとは知らずに安珍を慕っていた庄司の娘清姫は、その後を追いかけ、日高川のほとりに辿り着きました。清姫は船頭に川を渡してくれるよう頼みますが、安珍から金をもらって渡さないように頼まれてた船頭は冷たく断ります。清姫は、安珍への想いが断ちきれず、嫉妬に狂い自力で川を渡る決心をします。恋の執念は、清姫を蛇体に変身させ、川を渡りきります。
〜大井川の段〜
芸州岸戸家の家老の娘深雪は、京都滞在中に宮城阿曽次郎と出会い恋仲になりますが、父の突然の帰国のため、国許に帰りました。家出をして恋人の行方を尋ねる旅を続ける深雪は、悲しみに目を泣きつぶし、盲目の琴弾芸人朝顔となります。数年後、朝顔は土官して名前を駒沢次郎左衛門に変えた恋人と島田宿で出会います。駒沢は同僚と一緒であったために名乗れず、深雪は相手が恋人であることに気付きませんでした。翌朝、恋人からの置き手紙を宿屋の主人に読んでもらった深雪は、息を切らして後を追い、大井川にたどり着きます。ところが大雨のために川止めになっています。絶望する深雪は川に身を投げようとしますが、宿の主人が追いついて深雪を止めます。宿の主人は実は深雪の乳母の父親で、むかし深雪の家に仕えていました。甲子歳生まれの自分の生き血で深雪の目を治せるといって自害します。そのおかげで深雪の眼は治ります。
戎さまが、釣竿をかついで庄屋の家へとやってきました。庄屋さんはお神酒を出し、もてなします。盃を飲み干した戎さまは、自分の生まれや福の神であることを話しながら舞い始めます。海の幸、山の幸を前に、みんなの願いをかなえようと、お神酒を飲み、幸せを運んできます。酔った戎さまは、船に乗り沖に出て大きな鯛を釣り、メデタシ、メデタシと舞い納めるのでした。
~巡礼歌の段~
十郎兵衛・お弓の夫婦は、徳島の玉木家の家宝の刀を探すため大阪に住み、十郎兵衛は盗賊の仲間に入っていました。お弓が神仏に願をかけているところに、巡礼の娘が訪れます。国許に残してきた自分の娘と同じ年頃なので、話を聞いてみると両親を探して徳島からはるばる旅をしてきたという身の上を語ります。両親の名前を聞いてみると間違いなく自分の娘であることがわかりました。今すぐに抱きしめ、母と名乗りたい思いを抑え、盗賊の罪が娘に及ぶことを恐れて、国へ帰るように諭します。このままここにおいて欲しいと頼むおつるを、お弓は泣く泣く追い返します。おつるの歌う巡礼の歌が遠のくと、お弓は泣き崩れるのでした。しかし、このまま別れてはもう会えないと思い直し、急いでおつるの後を追います。
〜酒屋の段〜
大阪上塩町の酒商人「茜屋」の主人半兵衛の息子半七は、女舞芸人の三勝と深い仲になり、娘までもうけて妻のお園には見向きもしませんでした。あまりのことにお園の父宋岸は、お園を実家に連れ戻し、半七は勘当されました。実家へ戻っても半七との別れを悲しみ続けるお園に心を痛め、宗岸はお園を伴い、再び嫁として迎えてくれと頼みに来ます。が、半七は人殺しの罪で追われる身であったため、半兵衛はお園のためを思って承知しません。半兵衛は代官所へ行き半七の代わりに縄を受けていました。二人の父親の愛情に皆が涙します。皆が一間で語り合っている間に、お園は一人残って「今ごろは、半七さんどこにどうして・・」と帰らぬ夫を慕うのでした。